教育系臨床心理士の本棚 

臨床心理士をしながら子育てをする主婦のブログ 

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子どもの力を伸ばしたい ~子育て本あれこれ~

 

子育てってなんだ?

 

最近、ざっくりと“子育て”というキーワードで本を読み漁っています(笑)

 

なんだか、子どもを育てるってほんと、奥が深い。正解はないし、子育て本って読めば読むほど「じゃ、実際どうすればいいの…」と迷宮に入っていくような。。。

 

真面目なお母さん・お父さんほど、どうしていいかわからなくなる、という気がしてきました。

 

そんな中で、すごく心に残った(グサッと刺さった!!)ことを教えてくださった本に出合ったのでご紹介。

 

 

本の紹介

今回ご紹介したいのがこちら。

 

 

自分で学べる親がやっている「見守る」子育て 子供が伸びるかかわり方のコツ43

小川大介

 

予備校や進学塾、中学受験専門塾で講師をされてきた教育家の方のご著書。

塾、というとどうしても学力!というイメージがありましたが、受験指導のもとは幼児期からの子供の能力の伸ばし方・親子関係にある!とのお考えから、子供の能力をどう伸ばすか、どうかかわるか、ということをメインに、たくさんの著書を書かれています。

 

 

本著では、

“自分はどういう人間で、何が好きで何が得意なのか、という自分に対する理解と、それに基づいた判断基準” “自分軸”を伸ばす子育て 

 

=「見守る子育て」

であるとして、そのコツを紹介してくださっています。

 

 

心理学のワードでいうと、自己理解を深め・自己肯定感を育てる、ということと近い気がします。

 

子育てには終わりがない、とは言いますが、ゴールがあるとしたら、子どもの自立=自分で学び、考え、行動し、その責任を取っていくようになること、なのではないかと思います。

 

その力を育てるために、自分で学べる子を育てるためのコツ・ルールのようなものを端的に紹介してあり、とても参考になりました。

 

 

子どもの遊びからわかること

 

教育相談の中で、行動観察として子どもと一緒に遊ぶことがあります。

 

セラピストによってやり方は様々だとは思いますが、

プレイルームと呼ばれるおもちゃがたくさんある部屋に入り、「〇分の間、ここで自由に遊んでいいよ」と言って、自由に動いてもらいます。

 

多分はたから見たら、ただ遊んでるようにしか見えないかも…

 

実際、部屋から出てきた子供に、

親 「何したの?」

子供 「遊んだ!ブロック!楽しかった!」

と聞いた保護者が、“専門機関にまで来たのに家と一緒じゃん…”という複雑な表情をしている場面もあったような…。(保護者への事前の説明不足で反省…)

 

しかし、1時間子どもと遊んでいる中で得られる情報はかなり膨大です。

 

初めての場所でどうふるまうか。戸惑って動けなくなる子もいれば、逆に興奮しすぎてうまく遊べない子もいます。そこから、生活の中でも戸惑うことが多いのかな?興奮しすぎてしまうことが多いのかな?と予測もできます。

 

最初に手に取るおもちゃは何か。

1つのおもちゃで遊ぶのか、次々と変えていくのか。

1時間の時間配分をして遊ぶことができるのか、時間配分ができずに最後に悔しい思いをするのか。

初めての人に対してどのように接するのか…

 

部屋で起こる些細なことから、この子はどんな子なのか、生活の中でどんなことに楽しみを覚え、困難を感じるのかを予測し、考えていきます。

 

 

今回本で紹介されていた“遊びを見守る”という章では、

“・その子が得意なこと

・その子の心が動くこと

・その子の情報のとらえ方“

という点で、ご家庭で遊びからわかる子どもの特徴やその子らしさを具体的に説明しています。

 

教育相談の中で行う、行動観察に通じるところも多かったように思います。

 

また、最近話題の、発達の偏りに関しても、

“・視覚が敏感

・身体感覚が敏感

・聴覚が敏感“

というようにとらえて、その子らしさを踏まえたうえでの伸ばし方について教えてくださっています。

 

『遊びで才能診断』という知育玩具シリーズの開発もされているとか。

 

それですべてがわかる!というわけではもちろんありませんが、遊びという子どもが最もイキイキとする時間に、親として、家庭でどうかかわるか、見守るか、についてとても深く考えさせられまた。

 

 

「見守る」って実は難しい

 

今回私が一番刺さったポイントはここ。

 

”母親がガミガミ言いがちなのは、命がけで子育てをしてきた勲章”

 

素晴らしい言葉です。

 

どうしても、

見守る→一生懸命見る→一生懸命教える→なんだかいつも怒ってる!!

ということありませんか?

 

本書の著者サンによると、それはあるある意味仕方のないこと、頑張りの証なんだそう。

 

母親は、泣いている赤ちゃんを見て、おなかが減ったのか?おむつ?具合が悪い?と原因は何か、問題点は何か、を常に問い続け、試行錯誤を繰り返します。

 

それを言葉が上手に出ない、幼児期の間、3年近く続けていくのです。

 

それは、”問題点を見つけるプロフェッショナル”になる訓練を3年するということ。

 

そこから小学校に入ったら急に、「問題点を見るのではなく、いいところを見つけてください」と言われるんだから、切り替えるのは相当大変ですよね…

 

 

今まで、問題はどこ?→すぐ対処!!を繰り返してきたのだから、子どもが成長してできることが増えてきても、どうしても問題ばかりが目について、それに対処しなくては!の思考から抜け出せないのです。

 

 

今まで、「見守りましょう」という言葉を軽々しく使ってきた自分に後悔…

 

3年間かけてその道のプロになってきたのだから、お母さん自身も、ゆっくり時間をかけて「見守る」姿勢に移っていく、新しいスタイルになっていくのが自然ですよね・・・

 

 

ゆっくりゆっくり、「見守る」スタイルに変化しながら、子どもが巣立っていくまで親も一緒に成長していくことができれば、きっといい子育てができた、と思えるのかなぁ。。。

 

 

こちらも読んでみたい・・・

 

頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て

 

今回ご紹介した本の元となる考え方について詳しく書かれている本。

優しい言葉で子育てを楽にしてくれる考え方を下さる気がします。

 

1日3分!頭がよくなる子どもとの遊びかた

こちらは、今回ご紹介した、遊びによる才能診断にもつながる本。子どもの力を観察しながら、いかに伸ばしていくか、ということをポイントに書かれた本です。

 

~英才教育について~

英才教育…是か非か?

子育ての中での悩み、皆さんどうしてますか?

 

 

私自身、子育て中のママなのですが、教育・しつけ・環境…正直毎日迷いまくりです。

 

ブログ検索しまくりまくりです。結局頼りになるのは専門書ではなく、先輩ママ!!(笑)

 

心理学という分野は非常に広く、いわゆる病気!的なところから、普通の子供の発達のことまですごーく幅広く学びます。(もちろん専門分野以外の知識は、浅いものにはなりますが)

 

心理学の教科書に、子供の発育の状況(身体も心も)についてものっていて、特に発達心理学という分野では、子供の成長、いわゆる、何歳で何ができるようになる、みたいなこともきちんと書いてあり、そこそこ頭に入れてあります。

 

 

が!!!自分で子供を産んでみて、正直、専門的に学んできたことより、頼りになるのは

、実際のネットのママの声や体験談のブログでした(笑)

 

ミルク飲まない!夜泣きしてる!わがまま言いだした!これでいいのか?!というときに、専門書はまず読みませんね…

 

 

今回ご紹介するのは、体験的な視点で日々の悩みを真剣に考え、著者さんなりの結論を出してくれている本。

 

本の紹介

 

「0点ママの子育て迷走日記」 斉田直世

 

監修に育児カウンセラーの先生がついていらっしゃるのと、様々なところに取材に行った上での体験談なので、とても信頼できる本でした。

 

なにより、「そうそう、悩むの!あなたはどうしてる?」という井戸端会議的なノリで漫画仕立てで書かれているので、非常に読みやすい!

 

教育相談の中でもよく話題に上がる問題が数々紹介されていましたので、思うところをまとめてみようと思います。

 

英才教育は是か非か

 

本書では、英語の早期教育や、右脳教育、スポーツの早期教育などについて、考えてくださっています。

 

 

教育相談の中では、まず所属歴、幼稚園や保育園、小学校名、中学校名を書いてもらうのですが、聞いたことのない幼稚園や保育園、塾などが記載されている場合、子供の成長の記録や育ってきた環境を考えるために、調べてみることがあります。

 

 

その中で、英才教育!インターナショナルスクール!右脳教育!などを表に掲げている施設に出会うことがあるのですが、、、、正直、ちょっと戸惑います。

 

それぞれの施設がとても素敵な教育理念を抱えているのはわかるし、ホームページなんかを読んでいると、うちの子も入れてみようかな?と思うくらい素敵なところもたくさんあるのです。

 

が、なんといいますか、相談をするうえで、私のほうがちょっと構えてしまうところがあります。(私の未熟さなのですが)

 

それだけ保護者が子供のことを思って、こういう子になってほしいと思って、選び抜いた施設なんだろうな、という期待の大きさを感じて、というのもありますし、

 

教育相談には何かしら悩みがあってくることが多いので、幼少期に受けてきた教育や期待が今の悩みにプラスの影響もマイナスの影響も与えてきたと考えてしまうからなのかもしれません。

 

もちろん、話を聞く中で、この子にとってはその環境がよかったんだろうな、素晴らしい環境に出会えてこの子は幸せだな、と思うこともあります。

 

が、教育相談の現場にいると、この子にこれはきついだろうな…その環境にいること自体に親も子も疲れてしまっている気がするな…というケースに会うことが残念ながら圧倒的に多いのです…

 

 

教育相談で出会うケース

 

例えば、右脳教育を幼児の頃から頑張ってきたのに、小学校に上がったら、学校の先生から集団活動が難しい、と言われて相談に見えたケースもあります。カードの暗記はできるけど、学校の学習は難しいというケースもありました。

 

発達の偏りの大きいお子さんでは、目で見たものの暗記はできるけど、それをつなげ合わせて考えることが難しいために、学校の学習にむずかしさが見られることもあります。

 

英語教育に力を入れて、インターナショナルスクールに入れていたら、小学校に入ったら日本語が出来ずに友達とのコミュニケーションが取れなくなってしまった、というケースもありました。

 

スポーツのプロになるために、家庭力のすべてをかけてきたのに、思ったようには伸びず、この先どうしていいかわからない、というケースにも出会ったことがあります。

 

 

相談、という形で出会っている以上、「うまくいきました!!」というケースに出会うことがマレである、というのは仕方ないのですが、そんな話を聞いていると、英才教育はメリットばかりではない、というのは感じてしまうところです。

 

 

何が正しいかはわからない。が、ポイントはここにあり?!

 

本書でも、ここに書いてあることが正解ではない、私なりに悩んで出した結論をご紹介します、という旨のことが書いてありました。

 

本当に、子育てに正解ってないんでしょうね…

 

ただ、相談を受ける中で、これは正しいのかな、と思っていることが1点。

英才教育にしても、子供を育てるうえでの環境にしてもポイントとなるのは、

親子とも、余裕がない状態では無理!

ということです。

 

スクールに通わせること、課題をこなすことなどを、こどもは楽しめているのか。

送迎する親、課題を手伝い、やらせたりする親は楽しめているのか。

家族はその様子を見て楽しそうだな!自分も仲間に入りたいな!と思えるのか。

 

その状況がそろっていないと、何をやってもうまくいかないのでは?というのが個人的な意見です。

 

 

なにがいい、なにが悪いというのは本当に、その子、その家庭次第と言わざるを得ないし、正直大人になるまでわかりません。死ぬまでわかんないかもしれません。

 

 

でも、その瞬間が楽しいかどうか、の結果はすぐ出るわけですから、そこをまずクリアしたいな、というのが私なりの結論です。

 

 

やれる範囲で、楽しめる範囲でやれることが、その家庭・親子の最高の英才教育なのかなぁ、なんて。

 

 

ちなみに我が家の教育事情

 

私は幼児の子供がいるのですが、

今のところ、

 

英語は自分が好きな歌を英語で歌えたらかっこいいなぁ、的なノリで自分が練習するのを子供が見ている、みたいな感じ。

いろんな言葉がある、いろんな言葉を話す人がいる、なんか楽しそうだよね、が伝わればOK、みたいな感じです。

 

右脳教育に関しては、検討中。もっと私自身が詳しく勉強してからじゃないとわからないなぁ、という感じです(今後いい本が見つかればご紹介しますね)

 

スポーツに関しては、何を習わせる!ではなく、とにかく一緒に身体を動かしまくる。公園に行くでも、家の中で踊るでも、自分でも楽しいな、と思えることを一緒にしながら、基本の体力や筋力、バランス力、運動が楽しいいう感覚が身につくといいなぁと思って接しています。(先日ご紹介した運動遊びの本を実践中!)

 

 

年齢が上がるにつれてまた悩むことも増えていくと思うので、またそのときは参考にさせていただいた本をご紹介できればと思います。

 

 

まとめ

 

今回は、「0点ママの子育て迷走日記」を読んで、ほんの一部ですが、教育相談でのケースや自分の子育て経験からおもうところをまとめてみました。

英才教育についてだけではなく、食べ物(オーガニックにこだわらなきゃだめ?など)や、ゲームやTV、ケータイとの付き合い方、子供の自立やほめる教育などについても、著者さんなりの体験談、結論がわかりやすく紹介されており、本当に頼りになる本でした。

 

”0点ママ”っておっしゃいますが、、、、全然0点じゃないじゃん。100点じゃん。というのが一番の感想ですね(笑)

 

子供の学力に運動遊びを!

10歳からの学力に差がつく!運動遊び!

10歳からの学力に劇的な差がつく!
というキャッチコピーにひかれて購入。(笑)

 

相談の中で、

習い事を何をさせようか、

やっぱりスポーツはさせておきたい…

部活動には絶対に入れたい!

 

という話題になることがあります。

 

運動をすると、集中力がついたり、協調性が身につくんじゃないか…とのお話になることもよくあります。

 

実際のところは、その子の状況(新しいことを始める気持ち・時間的余裕、エネルギーがあるのかどうか)や得意・不得意にもよってくるので、何とも言えないところですが、、、、

 

運動が学習にどのような影響を与えるのか、子供にとって運動がどのような効果を与えるのかを調べているうちに素晴らしいキャッチコピーの本に出合ったのでご紹介。

 

 

本の紹介

 

子どもの脳を育てる運動遊び

柳沢弘樹

 

 

身体機能と脳機能の関連、記憶、やる気との関連について専門に研究されている方。子どもの発達に合わせた運動遊びを行うことで、子供の成長を促していこうという活動を行っている方の著書です。

 

 

学力は勉強だけでは伸びない?

 

学力=勉強ではない!!学力は「知能」の上に積み重なるもの。

さいころから先取り学習をしていれば、成績は伸びていくのか、というと、違うとのこと。

 

確かに、知識を早くに詰め込んでも、それが使いこなせるようになること、自分で考えていく力が身につかなくては、知識が生きていきません。

 

学習で差がついてくるのは、3-4年生からのことが多いのですが、暗記ではなく自分で考えて答えを導いていく力が問われていくようになってくるからだといわれています。

 

先取りして暗記だけをしていても、考える力の部分=知能が育っていないと、10歳からの学力は伸び悩んでしまう、という考え方ですね。

 

 

 

心理士の仕事では、WISCをはじめとした知能検査をよくとりますが、WISCは、言葉・知覚認知・ワーキングメモリー(記憶や実行機能)・処理のスピードを総合して、「知能指数(IQ)」としてあらわしてみよう、というものです。

 

かといって、WISCだけですべての「知能」が測れるかというとそうではないので、そのほかの情報(生活の状況や学習など)もきちんと加味し、その子の「知能」「その子持っている力」がどのくらいあるのか、を考えていきます。

 

もちろん「持っている力」は、知能だけではなく、運動能力だったり、なんか人に好かれる、みたいなキャラクターだったり、人に助けを求めることができることなども「力」です。

 

 

 

話はそれましたが、著書では、運動により、子供の「知能」を伸ばしていけるのではないか、という考え方が紹介されています。

 

「知能」を伸ばす、というと、なんか教育!!っていう感じがしますが、持っている力を引き出しやすくする、持っているものを刺激して伸びやすい環境を作ってあげる、というイメージでしょうか。

 

 

 

運動で学力が向上する?

 

運動により、脳が活性化されるのはよく実験で紹介されており、暗記の時は歩きながら!というのは結構有名ですよね。

 

集中力と関連のある脳の部位が、運動により活性化されることにより、集中力が高まるとのこと。

 

体の健康のためにも、学力の向上のためにも、身体を動かすこと、運動を楽しめることが大事なんだとか。

 

確かに、部活動を熱心に取り組んで、まったく勉強しなかった子が、中3で部活を引退したとたんに成績がぐんぐん上がる、というのもよくある話。

 

 

集中できる力や、スケジュール管理、物事を総合的に考える力、周囲の指摘を受け入れて向上しようとする力、失敗しても切り替えて試行錯誤していく力などはスポーツにも学習にも必要なので、そこが生きるからなのかもしれません。

 

 

…もちろん、スポーツをしていても、それらの力が育っていなければ成績は伸びないのですが…

 

なんにせよ、きちんと打ち込める子、切り替えができる子、自分で考えて行動ができる子がに育ってくれるといいなぁ、、、、と思うところ。

 

 

学力向上や成長、ということに限らず、生きていくうえで身体をうまく使えることってとても大切な気がします。

 

生きる、普通に生活する、って実はものすごい体力使うんですよね。。。

 

勉強するにも、仕事をするにも、集中するには姿勢を維持しなければいけない。

長い時間姿勢をキープするには、結構筋肉を使います。

その力がないのに、集中しろ、姿勢を正していなさい!!っていうのは無理ですよね…

 

学校に行くのも、歩いて行って、1日座って、結構ハードなスケジュールをこなして、友達とも遊んで、となると、体力・筋力・気力は相当使うと思います。

 

 

不登校のお子さんの居場所的役割の適応指導教室で、身体を動かす時間を作ったりするのは、まずは生活できる、学校に行くことができるだけの体力や身体づくりを、という意味合いもあるのかもしれません。(もちろん、コミュニケーションとしての意味合いも大きいのですが)

 

学力を伸ばすため、子供の成長を促すため、ましてや生活を営んでいくために、身体作りを大切に考えよう、ということです。

 

 

 

運動と心

 

また、身体のバランス感覚と心のバランス感覚は比例することが多いような気もします。

 

高度な運動は、力の発散と抑制の調整、力を入れたり抜いたりすることが必要になってくるので、それが得意な子は気持ちの面でも力のいれ時と抜き時がわかってくるのかもしれません。

 

発達のばらつきの大きい子に、不器用さんや運動が苦手な子が多いのも、知覚認知(空間認知)の独特さや協応動作がうまくいかないことと関連しているとされています。

 

 

もちろん、苦手な子が天才的に得意になることは考えにくいのですが、幼少期から遊びを通して楽しく訓練できれば、運動嫌いになることを防げるかもしれませんし、その子なりの向上が見られるようにも思います。

 

 

本書では、年齢に合わせた運動遊びやそれによって培われる力について丁寧に紹介して下さっています。

 

また、親子で行うことでコミュニケーションの一環となったり、年齢が上がってルール遊びになってきたときには社会性・協調性の基礎を作っていくのではないかとのこと。

 

 

 

運動・遊びを通して、子供の力、生活していく力、生き抜いていく力の基盤が作っていこう!というのは、生活の中でも取り入れやすく、家にいながらすぐにでも実践できそうです。

 

私も早速明日、子供とやってみよう…。

 

~反抗期、バンザイ?~

反抗期について

 

反抗期が来たら怖い!と、漠然と思っているお母さん、多いのではないでしょうか?

 

教育相談では、

“反抗期について”というご相談よりも、

“発達の偏りが心配。反抗期を迎える前に相談したい”という主訴が多い気がします。

 

 

反抗期真っ只中のときって、意外と相談少ないかも。。。

 

(もちろん、継続的にお会いしている子が思春期に差し掛かり、反抗期について話題になることはありますが・・)

 

 

今回は、反抗期について少し考えてみようと思います。

 

 

書籍紹介

 

今日ご紹介するのはこの本

 

子供にクソババアと言われたら 

 

衝撃のタイトル(笑)

 

 

私もまだ未就学の娘がいますが、言われたらどうするかな・・・

 

キタキタ反抗期―!!と逆に笑ってしまうかも。

 

 

反抗期とは

 

今回ご紹介した本によると、反抗期とは、“親の力と子どもの力の大きさをグラフにした時の交点”なんだそう。

子供が小さい時は、親の力の方が圧倒的に強い。子供が育つにつれて、子供の力が育っていき、親の方は年を取って行きますから、どこかで親を抜かしていくことになります。

 

子どもが成長することによって、交点ができていくのが自然なことで、子育ての成功の証であるとのこと。

 

反抗期は、自立(自分で考えて、自分で行動、責任を取る)ことができるようになってきた証拠。

 

反抗期を迎えて、うまくその先に進むことが、子育ての目標であり、ゴールなんだとか。

 

 

反抗期=子育ての成功の証

 

 

そう考えると、反抗期が来るのが少し嬉しくなるかも?

 

 

教育相談で出会う反抗期

 

教育相談で「反抗期だから相談したい」にあまり出会わない理由もそこにあるのかもしれません。

 

反抗期をきちんと迎えられているご家庭は、多くの場合、親も子も健康度が高いのです。

 

たまに相談に来ても、お話を聞いている中で、お母さん自身がなんとなく落としどころを見つけて帰っていくので、継続的な相談に繋がらないことが多い気がします。

 

もちろんその場ではお母さんもイライラ募り、半ば愚痴のようにわーっと子供のことをお話されるのですが、最終的に、「まぁしょうがないんですけどねー」と笑顔で言える余裕?のようなものが感じられることが多いです。

 

苦しいし、腹が立つけど、受け止める余裕も多少ある、という状態なのかなと。

 

 

 

子どもとお会いする場合にも、

「なんかイライラするんだよねー。反抗期来ちゃったかなー。親の言ってることはわかるんだけど、なんか腹立つんだよねー」

 

なんて、大人びたことを言いながら、数回の相談で親との話し合いがスムーズに行くようになり、相談が終了するケースが多いです。

 

 

反抗が嬉しいケースもある

 

鬱っぽい状態で、エネルギーが著しく落ちているお子さん(不登校で部屋から出れないなど)の場合、逆に、「反抗期が来た!!よかった!!」とお母さんと一緒に喜ぶケースもあります。

 

エネルギーが戻ってきた証拠、自分で考えて自分の意見を言えるようになった証拠だからです。

 

 

反抗期を迎えられるって、実は素晴らしいことなんですよね。

 

・親も子も健康である 

⇒健康でないと、反発する元気もない

 

・反抗できる親子関係がきちんと出来ていること 

⇒言ってもしょうがない、と諦められてしまっていたら、反抗もしない

 

・自分の考えや自分の思いをきちんと感じられる子に育っていること

⇒考える・感じる力がなければ、ただただ混乱して、反抗というよりパニックに近い状態になる

 

・親に子供の気持ちと向き合う余裕があること

 ⇒親がフラフラの状態、今にも倒れそうだったら、子供は反抗どころじゃない

 

 

少なくとも、この条件がきちんとそろっていないと、反抗期は来ないんです。

 

反抗期が迎えられたら、お赤飯炊かなきゃ!ってくらいめでたいことかも?(笑)

 

 

こなければいけないわけじゃない

 

こう言うと、反抗期が来てないけど大丈夫?と思われる方もいるかもしれませんが、

 

反抗期=「クソババア!!」「ふざけんな!」「うるさい!」ではありません。(笑)

 

しずかーな、おだかやかーな反抗期もあります。

 

ひたすらに黙ることで反抗する子もいますし、自分なりに行動すること、自分の意思を貫くことで反抗することもあります。

 

自分の意思を貫いて、頑張っている姿は、反抗期!という感じじゃないかもしれませんし、親にとって望ましい姿なのかもしれませんが、親の意見ではなく自分の意思を貫く、自分の意思で行動する、という点では、立派に反抗しているのです。

 

 

反抗期=親とは違った人間であることを自覚し、自分の意思で行動し始めるとき

 

ということになるでしょうか。

 

そういう意味で反抗期を考えると、「クソババア!」と言われなくても立派な反抗期なわけです。

 

 

できれば自分の子供には穏やかな反抗期であってほしい・・・

と思うが、それは子供のタイプによるからなぁ・・・うちの子の反抗期はどちらかというと、激しそうです。。。今から体力を温存しとかなくては。。。

 

 

 

危険な反抗期

 

親にも子にもある程度の余裕がある状態(イライラするし、愚痴は言いたくなるけど、愚痴を言えばある程度スッキリする。普通に話せる時もある)の反抗期は、自然なことで、子育ての成功の証、というお話でした。

 

 

が、危険な反抗期があるのも事実。以下のような場合は、是非学校や、教育相談施設、カウンセリングルーム、病院、児童相談所にご相談をして欲しいと思います。

 

 

・自分に余裕がないと感じる。

  ⇒体調が悪いことが多く、日常生活に支障が出ている

 

・暴力がある。暴力を振るってしまう。

  ⇒怖いと思ったらすぐ警察を呼んでください。もしくは児童相談所にご相談を。

 

※警察を呼んだらすぐ逮捕される!補導歴になる!児童相談所に電話したらすぐに保護されてしまう!子供を取られてしまう! などというのは誤解であることが多いです。

警察も児童相談所も、結構丁寧にお話を聞いてくれ、どうするのがこの親子にとって一番いいか、という視点で考えてくれることが多いです。

子供に「イライラしても暴力はいけない」ということをきちんと冷静に教えてくれたり、親のほうが一息おいて冷静になれるようサポートしてくれたりします。

 

 

・ネットやゲーム依存などにより、反抗というよりパニックに近い形(自分でコントロールできていない様子)で暴言などを繰り返す場合

 ⇒反抗というより、依存症の症状としての行動である場合があります。日常生活がきちんとできているかを学校や周囲の人に確認し、日常生活にも支障が出ている場合は専門機関の受診も視野に入れてもいいかもしれません。

 

 

 

あとがき

 

とても印象的なタイトルの本に出会ったのでご紹介しました。

 

“反抗期”というと、イライラと悲しみのオンパレード、壮絶な日々・・・というイメージかもしれませんが、実は子育ての成功の証なんですね。

 

すてきな反抗期を迎え、立派な大人になって欲しい!

 

果たして我が子が反抗期を迎えたとき、“よくぞきました反抗期!”と言えるかどうか・・・

私自身の数年後も少し楽しみになりました。

~統合失調症って知ってますか?~

統合失調症とは

 

主に、幻覚・妄想などを特徴とした精神疾患です。

 

おそらく多くの人にとって、“精神病”と言って頭に浮かぶのは、“統合失調症”なのではないかと思います。(よくわからないことを叫んでたり、一人でブツブツ言ってたり?みたいなことを想像するのでしょうか)

 

ただ、現場の感覚から言うと、ドラマや映画で見るような、激しい幻覚・妄想、人格破綻みたいなのは今はだいぶ少ないような・・・(もちろんそれに苦しんでいる方もいるのですが。早期に治療が開始される分、重症化してから発見されることが少ないのかな?)

 

 

統合失調症”、昔で言う“精神分裂病”、今ではものすごい広い概念、スペクトラム(グラデーション)で考えられるようになっています。

幻覚・妄想がひどく、いわゆる病院で行動制限がかかるような人もいれば、調子の悪い時だけちょっと現実と非現実の境目がわからなくなる、というくらいの人までいます。

 

自分の考えと他人の考えの区別がつきにくい(他者視点が理解しにくい=空気がよめない)という点では、今話題の自閉症スペクトラムと重なる部分もあるのではないかという研究もあります。

 

重い統合失調症の方でも、陰性症状と言われる症状がメインに出ているときは、うつ病と同じような状態に見えることもあります。

 

 

個人的に大きな特徴は、現実と非現実、自分と他人の境界線が曖昧になる、ということだと思います。

 

 

統合失調症は100人に1人。学校で言うなら学年に1人はいるくらい身近な病気です。(発症は思春期以降が多いですが)

 

 

要は、ふつーにいます。

ふつーに生活してます。

 

 

周りから見て、「なんかたまに疲れてるのかな?いつもと違うなーって時もあるよね。」「個性的な人だよね」くらいの感じです。

芸能人で公表されている人もたくさんいますし、芸術家なんかには非常に多いと思います。(診断を受けているかどうかは別として)

 

 

芸術系の仕事は、現実と非現実の間を表現することで魅力的なものになることがあるし、非現実のものを描くことも多いですもんね。

統合失調症の傾向を持っている人がその特性を生かしやすい分野なのではないかと思います。

 

現実と非現実を行き来できる、という点で、すごい才能。

夢と現実を行き来できる、と言ったら、とても魅力的に聞こえませんか?

 

 

が、厄介なのが、その非現実に現実が侵食されてしまったり、自分で現実・非現実の区別がわからなくなってしまうこと。

そして、その妄想や幻覚は、マイナスなものや怖いものが多いこと。そのことで、生活に支障が出ることが多いことです。

 

 

統合失調症統合失調症傾向という性格?と捉えたほうが自然かもしれませんね)と付き合うということがどういうことか、とてもわかりやすく教えてくださる本と出会いましたのでご紹介。

 

 

 

書籍紹介 

統合失調症日記 木村きりこ

 

 

日常のエピソードを漫画で伝えてくださってます。

発症から10年経ってから治療開始ということもあってなのか、統合失調症の特徴が結構強めに出ていらっしゃる方なのかな?と思います。

 

見えない人にとっては非常にわかりにくい、幻覚・幻聴についてもわかりやすく伝えてくださっています。

 

 とにかく面白い(言葉が違うかもしれませんが。漫画だからいいのか?)。

こういう世界がある、こういうふうに見えている、感じているというのがとても身近に感じられる、素晴らしい本した。

 

 

教育相談の中での統合失調症

 

思春期以降に発症することが多いため、教育相談の中で、重症化したケースにあまりお会いすることはないのですが、

 

「うーん、、、この子少し統合失調症傾向があるかもなぁ。あんまり負担かけずに過ごしていけるといいなぁ」と感じるケースはあります。

 

 

なぜ思春期以降なのか、というと、小さい時はみんな現実と非現実の境界線って曖昧だから!なのではないかと。

 

 

子供って発想が豊か、とはよく言いますよね。

夢で見たことを現実のことだと思い込んだりすることもよくあります。

 

お化けが見える、というのも実は本当かも。

画像の処理は、脳がしているわけなので、現実と非現実の区別がつかない状態だと、本当に目の前に画像が作り出されてしまうのです。

(もちろん、ケースによります。大人の気を引きたいだけのときもあります・・・)

 

 

それがだんだん成長するにつれて、情報処理がうまくなり、現実・非現実の区別がつくようになり、なんとなく現実のウェイトが大きくなってくる人が多いのですが、そうじゃない人もいます。

 

みんな現実主義・リアリスト、夢なんか信じない!っていう世界じゃつまんないですもんね(笑)

 

要は、バランスの問題だと思うのですが、現実を見ながら夢の部分も持ち続けたり、非現実を楽しめる余裕があったりするのは大切なことです。

 

 

ところが、非現実のウェイトが大きくなってくると、現実生活が破綻し始めます。

いつも夢の中にいる感じで、ふわふわしてしまったり、現実とのつながりがなくなってきて、引きこもりがちになったり。自分の思い込みが現実だと信じすぎて、周囲とトラブルになったり。

 

 

その兆候(不登校だったり、周囲とのトラブルだったりします)が出てきた時に、ストレスをかけすぎ、それが長期間続くと、どんどん非現実の世界に入っていって、なんだか遠くに行ってしまうように感じることがあるのです。

 

 

 

面接の中で、会話はしているのだけど、言葉がその子を通り抜けていってしまっているような、一緒にいるのだけど違うところにいるような感覚になる子と出会うことがあります。

 

そういう子が調子がいいときは、非常に豊かな才能を発揮したりします。ただ、ストレス状態が長くなると、だんだんエネルギー量が減っていって、才能を発揮する元気もなくなっていってしまいます。

 

もったいないなぁ。自分のペースで、ストレスを極力減らして生活してってほしいなぁ。自分のペースをきちんと身に付け、周囲の環境が整えば、この子の魅力にきっとみんな惹きつけられるのになぁ。

 

と思いながら、周囲の環境調整に当たることが多いです。

 

 

 

受診は早いほうがいい

 

 

研究がいろいろ進んでいるので、諸説アリなのかもしれませんが、統合失調症は脳疾患であると捉える視点もあります。

 

実際に、脳画像でも、脳に、穴あくんです。

 

簡単に言うと、脳が萎縮していく認知症みたいなものだと思うと、受け入れやすいかも?(語弊はあるのですが)

 

認知症も、治りはしないけど、早めに受診すれば進行をゆっくりにするお薬もあります。サポーティブな環境や周囲の働きかけによっては、進行度合いや日常生活への支障も随分違ってきます。

 

統合失調症も一緒じゃないかな?

 

薬をきちんと服薬するのは第一。

その上で、環境を整えれば、ふつーに生活できる。

調子の悪い時もあるかもしれないけど、早めに休んだり、対策をとれば、日常生活への支障も最低限に抑えることができる。

 

統合失調症傾向を持っている人でも、発症とまでいかないところでバランスを取って生活していくこともできると思います。

 

 

もちろん当事者の視点に立てば、大変なことは多いと思います。

周囲の理解を得るのも難しいこともあるかもしれません。

 

でも、100人に1人ですもん。学年に1人ですもん。絶対身の回りにもいるはず。

 

「うちのおばあちゃん、少し認知症気味かなぁ?」と同じ感覚で、「ちょっと統合失調症傾向あるのかなぁ?」病院行ってみようかな、と思えると、いいのかなぁと思ったり。

 

 

周囲の理解が少しでも高まるといいなぁ。

 

 

あとがき

 

普段、子育てに関する本を中心に手に取ることが多いのですが、とても面白い(言い方がおかしいかもしれませんが)本に出会ったので、ご紹介しました。

 

 統合失調症ASD自閉症スペクトラム)とかぶる部分があるのではないか、自閉症統合失調症は一つの病気の程度の違いなのでは?という研究もあります。

 

発達障害がこれだけ話題になっているのだから、統合失調症についてももう少し世間に知られていくようになってもいいのかな?

 

精神病!精神科!=怖い!のイメージの代表格なのでは?と思われる統合失調症ですが、怖くないです。普通にいます。面白い人や魅力的な人も多いです。

語弊を恐れずに言うなら、そういうタイプの人、そういう性格の人、調子を崩すと悪化しがちなタイプ(風邪引くといつも肺炎になる的な?)という感じでしょうか。

 

が、それが行き過ぎたり、大変なのに(受診せずに)無視してたりすると、生活に大きく支障がでます。

 

早めに気づいて、自分も周囲もその傾向との付き合い方を考えていくことが大切なのかなと思います。

~子どもへの性教育について~

性教育について

 

今回は、性教育について。

 

・・・苦手です。

 

大事なこと。早期からするのが大事。それは知ってる。

が、何を?いつ?どうやって?とにかく気まずいんですけど。。。みたいな。

 

 

教育相談の中では、

・性器いじり問題

・どこでも脱いじゃう問題

・思春期なのに、恥ずかしいの感覚がうまく育たない問題。(リビングで裸、スカートなのに足を開くetc)

 

が、多いでしょうか。

 

夫婦間のスキンシップや性のことを子供にどう伝えるか(きょうだいが出来た時など)も話題になることがあります。

 

特にASD自閉症スペクトラム)の傾向を持つお子さんは、他者からどう見られるか、という視点が育ちにくいこともあり、“恥ずかしい”の感覚を獲得しにくかったり、

 

“自分が思っていること=人が思っていること”という感覚から、“自分が好きならあの子も自分のことが好きなはず”“自分が気持ちがいいのだから、あの人もそうなはず”と思い込んでしまうケースも多いようで、

 

きちんと、わかるように、言葉と視覚情報(絵や図など)で伝える必要があります。

 

 

「え?そんなこと自然にわかるでしょ?」が、結構通用しません。

 

“僕が好きで告白したんだから、あの子は僕のこと好き。だから何をしてもいい。”と本気で思っている子もいます。

 

 

相手が嫌がっている、ということが理解できず、“僕が気持ちがいいのに、嫌なはずがない”と、カウンセリングの中で本気で語る子にも何度も会っています。

 

 

大事なことだからこそ、きちんと伝えてあげたい。

大人として、たじろぐことなくしっかりと教えたい。

 

面接の中では、

・あなたの思っていることと、ほかの人が思っていることは違うことがある。

・あなたは気持ちがいいかもしれないが、相手は嫌だと思うこともある。

・その行動は、多くの人に○○という誤解を与えることが多い。

・この言葉やこの動作は相手が嫌がっているサインである。

・人が嫌がることはしてはいけない。

 

など、実際の場面を振り返りながら丁寧に伝え直すことがあります。

 

 

 

というか、相談に来る多くの子が、性についてびっくりするほど無知です。

中学生、高校生で、アダルト動画を平気で見ているような子も、アダルト動画で見る性行為と、学校で習った性教育の授業(男女の体について、避妊、受精など)が全く結びついていません。

 

TVの出産シーンは何度も見ているのに、自分がどう生まれたか、性行為をして命をつくるとはどういうことか、いまいちピンと来てません。

 

 

なんとなく情報が頭の中でバラバラになっていて、自分はこうやって生まれた、自分は今生きている、新しい命はこうやってつくられる、ということが一連の流れとして理解できていないような気がします。

 

 

というか、じゃあそれをきちんと教えられているか、というと、、、あなたは教えられますか?

 

学校の先生でも、きちんと自信を持って教えられる先生は少ないんじゃないかと思います。

 

 

カウンセリングの中で聞かれても、正直ビクッとしますもん。

内心、「やば。気合入れて、でも自然な感じで、ちゃんと話さねば!」と思ってます。

そして、そのビクッとした感じ、子供に見透かされている感じがして、なんだか変な空気になってしまうことも。

 

個人的に大切にしているのは、ちょっと気まずいのも含めて、正直に伝えることです。

 

「突然だから、あなたがそんなこと考えていたんだ、とビックリしたけど、とても大切なことを教えて(聞いて)くれたと思う。じっくりお話を聞きたいんだけどいいかな?」という感じです。

 

 

では家庭では??

 

 

私も親ですが・・・。教えられている自信がない・・・。聞かれないし、、機会もないし、、みたいな(逃げ)

 

 

体のこと、いのちのこと。

きちんと教えられる大人にならなくては!

 

 

ということで、本を読んでみましたのでご紹介。

 

 

書籍紹介

 

親子で話そう!性教育 浅井春夫

 

 

性のおはなしQ&A 幼児・学童に伝えたい30のこと 浅井春夫

 

 

2つの共通部分と感想、印象に残ったことについてまとめていきます。

 

 

性教育、いつから?

 

学校で教科書に載るのは、小学校の高学年とかですよね・・・

性教育、というと、なんとなくそのへんからのような気がしてしまいますが・・・

 

2つの著者は、生まれた時から!

とのこと!!

 

やば!!!!うち、全然やってません。。。

 

 

そもそも性教育とは、“身体のこと、いのちのことを教えること”(包括的性教育)なんだそうです。

 

そう考えると、「ここが目、ここが鼻、足、手」とは、生まれた時から教えますよね。

それと同じなんだそう。

 

確かに、目、鼻、口、は教えるのに、性器についてはなんで教えないんでしょう。

 

 

大事なところなのに、名前すら教えないって確かに変だ。

 

 

身体の名前を教えることから

 

低学年までの男の子、やたら「チンチン!」とか叫んでますよね。

うんこ、も大好き(笑)

 

卑猥な言葉をやたら叫ぶ、という相談はよく受けることがあります。

 

 

親としては、恥ずかしいからやめてくれ、という感じですが、彼らにセクシャルな意味合いはなく、新しい言葉を言いたいだけ、相手の反応を伺っている、ということが多いそうです。

 

 

そこで、「恥ずかしいからやめなさい」と、怒るのはNG。

幼児だからと遠ざけたり、性用語を使うことをいけないと感じさせたり、隠すべき話題だと思わせることが、適切な理解をすることの障壁になってしまうのです。

 

 

まずは興味を持ったことに対して、「チンチンって何?どういう役目があるの?一緒に調べてみよう」と、きちんとした知識を身に付けるチャンスにすることが大切。

 

 

聞いてきたことを褒める。そして、どうしてそう思ったのか、どう思うのかを問うことで、一緒に話ができる関係性作りが大切なんだそうです。

 

 

 

そして、私自身の一番の衝撃。

 

 

男の子の性器はの正式な名前は“ペニス“ですよね。

 

あれ?女の子は????

 

・・・お股?・・・マンコ?・・・正式に?え???

 

 

皆さん、ご存知ですか?というか、子供になんて教えてますか?

 

 

 

 

女の子の性器、“バルバ”って言うらしいです!!!!!

  

 

知らなかった・・・

  

自分の体なのに、正式名称も知らずに生きてきたのか・・・。子供にはきちんと教えよう。

 

 

 

体の名前を教える、と思うと、性教育をせねば!!って気持ちが少し和らぐ気がします。

 

  

身体の名前を知るのが性教育

 

身体の名前をきちんと知ることが大切。でも、それと性教育ってどういう関係?と思う人もいるかもしれません。

 

なんとなく、性教育=性行為、避妊を教えること、のような気がしてしまいますが、それは違う!

 

 

性教育の目標・ゴールは、子どもの権利を守ること、人間らしく生きていくこと!

 

 

自分の身体、自分自身が大事なものであり、自分自身の選択によって自分らしく生きていく権利が有ることを知ること、なんだそうです。

 

 

身体のどの部分も自分のものである、大切である、と知ることで、性被害や望まない妊娠を防ぐことができます。

 

痛い、という感覚、快・不快、体からのメッセージを読み取る力を身につけることで、嫌なものは嫌、と言える力を身に付けることが性教育の目的なんだとか。

 

 

「変な人には近づかない、変な動画は見ない!」と教えたって、何が変なのか、どういうのが変なのか、って実はちゃんとは教えてないですよね・・・

 

 

性被害は、“変な人”よりも、“優しそうな人”や“よく知ってる身近な人”から起こることが多いそうです。

アダルト動画も、今やアニメを見ていたあとの自動再生で流れてしまうことも・・・

 

 

ということは、“変な人、変な動画”かどうかを、自分で判断できるようにならなきゃいけないんです。

 

 

何が“変”なのか、「なんかおかしい!」のアンテナをきちんと育ててあげるために、自分の身体がどういう機能を持っていて、どういうことが快・不快かをきちんと教えてあげなきゃいけない。

 

 

自分の身体を自分で管理すること⇒自分の人権を自分で守れるようになることにつながっていくんですね。

 

 

幼児期で言うと、自分の体を自分できちんと洗えるようになること。ペニスも、バルバも丁寧に洗うことができなければ、かゆみなどにつながります。

大人になっても綺麗に洗うことができなければ、感染症にもつながります。

 

病気から身を守ることにもつながるんですね。

 

 

なるほど大事だ。

 

 

 

あとがき

 

性教育、と言われるとなんだか構えてしまいそうですが、性教育、とは“生”教育。生きていく術、自分の身体を知り、自分を守り、自分らしく生きていく術を教えることなんですね。

 

漢字、変えればいいのに。(笑)

そしたらなんか抵抗やわらぐ・・・

 

 

ご紹介した本には、大人がついビクッとしてしまう質問について、Q&A方式で対応例が書いてあります。

 

もちろん、その通りにできるわけではないし、子どものタイプや親子の関係性にもよると思いますが、(私もきっと上手くはできない・・・)目を通しておくことで、いざという時に少し冷静に対処できるような気がします。

 

 

「ちょっと待ってね。大事な質問だから、きちんと考えてから答えさせてね」

と、言えたらこっちのもの。

 

 

本を見ながら頭を整理して、きちんと伝えることができそうです。

 

 

 

~HSPについて~

 

HSPって何?

 

最近よく聞く、HSP(Highly Sensitive Person)、HSC(Highly Sensitive Child)…。

 

人一倍敏感で、様々な刺激に気づきすぎてしまうことで、疲れやすく生きづらいタイプ。

 

「自分もそうだ!」「うちの子、そうだ!」と言って相談にいらしてくれる方も増えてきました。

 

確かに敏感なタイプというのは昔から居て、神経症になりやすいとか、鬱になりやすいとか言われてきました。最近は発達障害ASD自閉症スペクトラム症)の特徴の中に、過敏さ、の項目があり、過敏である人がいる、ということに対する理解も深まってきました。

 

 

 

自分自身に目が向き、自分の辛さについてきちんと向き合っていこう!もっと楽に生きられるように考えていこう!という流れは非常にいいと思うのですが…

 

ただ、HSPの概念、精神科としては非常に扱いづらいんです…。

病院に行ったら、風邪です、とか、胃潰瘍です、とか、病名をつけるじゃないですか。精神科に行ったら、鬱です、とか、適応障害です、とか診断をつけるんですけど…

 

 

HSP、診断名じゃないんです!!

これが発達障害と違うところ。発達障害は、ASDADHD、LDなど、障害名として認められてるんですが、HSPはあくまで心理学者が提唱した“概念”にすぎないので、「恥ずかしがり屋タイプ」「心配性」といった、一般的な性格区分にすぎないんです…。

 

概念としては非常にわかりやすく、そういうタイプなんだ、ひとりじゃないんだ、と思えることで楽になる部分もあるので、とてもいい流れだなと思うんですが、

 

HSPなんですけど治してください!」

「HSCなんで、配慮してください!」と言われると、ちょっと困る。。。

 

 

心理士は診断をするわけではないので、正直発達障害だろうが、鬱だろうが、HSPだろうが、恥ずかしがり屋さんだろうが、やることは一緒で(もちろん見立てによって方向性は変わるんですけど)

「どうして相談しようと思ったの?」

「どんなことに困るの?」

「どういう状態になりたいの?」

みたいなところから話進むので、ぶっちゃけHSPだからどうこうってわけでもないんですが、、

 

しかし、これだけ流行っているのだから、少し考えていかなくてはと思い、HSPの方の本を読んでみました。

 

書籍紹介

生きづらいHSPのための自己肯定感を育てるレッスン

 

 

HSPの特性により生きづらさを感じ、うつ病になってしまった経験を通して、自身の体験とHSP特性との付き合い方についてまとめてくださった本です。

夫であり、精神科医の先生がコラム的にワードについての解説をしてくださっているので、非常にわかりやすいです。

 

チェックリストと、具体的な生活の工夫についてもかなり詳しく教えてくれています。

 

HSPについて考えるなら、HSPの人の体験談を!と思っていたので、非常にわかりやすく、読みやすい本でした!

 

以下、印象に残った部分と感想・現場での経験について思うところを…

 

 

HSPの生きづらさについて

 

  • 刺激に敏感

 

 これは結構きついと思います。最近は、マスク問題で、感覚過敏の人がマスクをつけられない、なんてことがニュースで特集されていたりもしましたが、感覚過敏による相談、非常に多い。

 

教育相談の中では、運動会のピストルの音が怖くて…とか、音楽の授業で気持ち悪くなる、チクチクが気になって制服が着れない、靴が履けない、なんてことがよくあります。

 

音に対してはイヤーマフで対応したり、感覚過敏に関しては別のものを着させてもらうなども学校にお願いすることがありますが、正直しんどいと思います。

中学生で制服着ないのとか、やっぱり難しいですもんね。

 

結局のところ、心の余裕?元気度?が減ってくると、過敏さがより際立ってくるところがあるので、エネルギー量を減らさないことに重きを置いて相談を進めることが多いのですが、

 

我慢する⇒疲れる⇒より敏感になる⇒我慢する…のループから抜け出すのけ結構難しい。

そりゃぁ疲れるよね、という感じです。

そこを周りにわかってもらえるだけでも少しちがうのかな?

 

 

過敏に関して、つら過ぎる場合は服薬することで少し楽になるケースもあったりします。

 

 

 

  • 場の空気で人間相関図がわかる

これ、すごいですよね。特殊能力!!

 

ただ、これについては少し疑問が…

 

ASDの特性に、空気が読めない、というのがありますが、ASDにも程度があって、ちょっと読める、ちょっとわかる、というタイプの人もいます。

 

ちょっとわかるがゆえに、頑張って空気を読まなくては!!と思いすぎて、疲れてしまう。

 

いつも空気について気を配っているので“自分は空気が読めている”“空気を読むのが得意だ”と思っていることが多いのですが、実は“空気が読むのが苦手だから人並み以上に頑張っている状態”であることが多い気がしています。

感覚的(視覚・聴覚等)には非常に敏感なために、情報過多すぎて、または、情報に優先順位がつかなくて、空気が適度に感じられない=空気が読めない、となっていることがあるように思えます。

 

それと、HSPの“空気が読めすぎる”というのとの差が正直よくわからないのですが、個人的にはかなり被ってくるのではないかと…

 

 

HSP、という概念にとらわれるのではなく、ASDの可能性も含めて特性理解を進めることで、使える工夫が増えてくるかもなぁとも思ってます。

 

 

  • 共感しすぎて引きずられてしまう

 

これは、境界性の問題であると本でも述べられていますが、他人のことを自分のことのように感じてしまう=自分と他人の境界(区別)が曖昧になりやすいことで起こるとされています。

 

境界性の問題…

ボーダーラインパーソナリティ(境界性人格障害)や統合失調症圏の方の特徴にもあるんです。

 

ボーダーラインパーソナリティの場合は、自分の気持ちと人の気持ちは一致しているはず!全部受け入れてくれる!全部わかってくれる!と思いがちで、そうでなかった場合に激しい怒りや不安が起きるために、感情の起伏が激しくなってしまいます。

 

統合失調症圏の場合は、他人の思っていることと自分の思っていることの区別がつかなくなってしまう、現実と非現実の区別があいまいになってしまうことで、幻聴や幻覚、被害妄想にもつながります。

 

病識があるかどうか、が1つの見分けのポイントになるのですが、HSP、ボーダーライン、統合失調症…境界性、という点で見ると、なんだかつながりがあるような…

 

要は程度の問題なのか?

 

先に述べたASDにも自己中心性、という意味で、自分が思っていることはみんな思っているはず、という感覚、自己と他者の区別がつきにくいという特徴があることがあります。

 

 

うーん…悩ましい。

 

こう考えると、HSPASD、ボーダーライン、統合失調症パーソナリティ、と区別すること自体どうなんだ?と思ってしまいます。

(もちろん服薬を考えると、診断名は必要になってくるのですが)

 

 

そういう人、そういう特徴もあるよね、そういうタイプだよね、と理解するのが一番いいのかな?

 

 

 

HSPと自己肯定感

 

この本では、特に自己肯定感について着目して話をしてくれています。

 

 

自己肯定感とは、自分は生きている価値が有る 大切な存在だと思えること。

生きてて大丈夫、という感覚をきちんと持てていることです。

 

自己肯定感もかなり流行ってるワードですよね。

 

 

HSPの特性を持っていると、自己肯定感がきちんと育ちにくい。

もちろんしっかりと育つ人もいるのですが、敏感さを理解してもらえたり、不安を共有してもらう経験が少なくなりがちですし、いつも不安な状態では、“自分はこれでいい”と思いづらくなりますもんね。

 

また、境界性の問題を強く抱えた状態では、自分(自己)をきちんと育てることが難しくなりがちなので、育っていない状態で“自信を持て”というのは無理ですよね。

 

 

本の中では、自己肯定感を育てなおす、として、自分で自分を大事に育てていく方法を紹介してくれています。

 

自己肯定感が低い状態だと、以下の思考パターンに陥りがち。そんな時の対処法についても書いてありましたので、一部ご紹介。

 

  • 完璧主義⇒「そんな日もあるよね」とあえて口にする

 

  • 0-100思考(白か黒かの考え方)⇒「それだけじゃないから!」とあえて自分にツッコミを入れる

 

  • 過度の一般化(みんなそう思っているはず!と思い込む)⇒事実を書き出してみる

 

 

 

自分を客観的に観る視点を持つ、ということが共通しているように思いました。

認知行動療法でもよく使われる、セルフモニタリングや例外探しに近いでしょうか。

 

自分で自分の状態を確認し、マイナスに行き過ぎないようにコントロールするイメージですかね。自分を守り、自分を大切にするという意味でとても大事なことです。

 

 

セルフケア・ヒーリング法

 

自分で自分を大事にしてあげることや、ストレス解消は、どんな人にも大事なことです。

 

相談の中でも、「どんなときにゆっくりできる?」「どんなことをすればエネルギーが回復できる?」と聞くことがありますが、これがスっと出てくる人は健康度高し!

 

自分にとって何が自分の栄養になるのか、って自分のことをよく考えて、大事にしている人にしか出てこないんですよね…

 

そこのバリエーションを増やすことが健康でいるためにも大切な気がします。

 

本の中でもたくさん紹介してくださっていました。

 

・人にしてあげたいことを自分にもする

 

・褒め療法(今できていることを認めて褒めるetc)

 

・逃げるのもあり 

 

・人との境界線を意識する (人間関係のマイルールを作る 3回嫌なことがあったらしばらく会わないetc)

 

自分を大事にするって、簡単そうで難しい…

これを実践できるのは素晴らしいですよね。自分を褒めているのを聞いてもらえる人がいるとよりいいのかなと思います。

 

人間関係のマイルール!素晴らしい!!壁に書いて貼っておきたい!(笑)

嫌なら会わない。その人はそう思ったかもしれないけど、自分は違うから!って思えるって結構大事だと思います。それが出来るだけで人間関係がすごく楽になる気がする。

 

 

その他、自分を大事にする、癒す、という意味で、以下のことも紹介してくださっています。

・食事

 

・タッピング

 

アファメーション

 

・瞑想

 

・ツボ

 

・アロマ

 

・体を動かす

 

・セーフティボックス(大事なもの、これがあると安心、と思えるものを入れる箱)

 

・ハンドマッサージ

 

 

 

すごい。

自分で自分を癒すこと、いわゆるリラックス法については、バリエーションが多いほどいいように思います。これだけあれば、その時にフィットしたものを選べる。素晴らしい。

 

ほんと、気持ちは体からですね。

体を大事にすることは心を大事にすることと非常につながっている。

 

なんか、相談に来る前に体のマッサージして来て!と言うのが効果的なんじゃないかと思うくらい(苦笑)

 

まずはちゃんと食べる、体を休める、筋肉を緩める、みたいなところから始める、というのはやっぱり大切なんですね。

 

 

 

あとがき

 

HSPにしても、発達障害にしても、スペクトラム、グラデーションという概念で考えていこう、と言う流れになっています。

要は程度の問題。全く敏感でない人はいないし、全く発達に偏りがない人もいない。

 

そういう意味で、どんな人にとっても大事なことが、たくさん書いてある本でした。