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臨床心理士をしながら子育てをする主婦のブログ 

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~子どもへの性教育について~

性教育について

 

今回は、性教育について。

 

・・・苦手です。

 

大事なこと。早期からするのが大事。それは知ってる。

が、何を?いつ?どうやって?とにかく気まずいんですけど。。。みたいな。

 

 

教育相談の中では、

・性器いじり問題

・どこでも脱いじゃう問題

・思春期なのに、恥ずかしいの感覚がうまく育たない問題。(リビングで裸、スカートなのに足を開くetc)

 

が、多いでしょうか。

 

夫婦間のスキンシップや性のことを子供にどう伝えるか(きょうだいが出来た時など)も話題になることがあります。

 

特にASD自閉症スペクトラム)の傾向を持つお子さんは、他者からどう見られるか、という視点が育ちにくいこともあり、“恥ずかしい”の感覚を獲得しにくかったり、

 

“自分が思っていること=人が思っていること”という感覚から、“自分が好きならあの子も自分のことが好きなはず”“自分が気持ちがいいのだから、あの人もそうなはず”と思い込んでしまうケースも多いようで、

 

きちんと、わかるように、言葉と視覚情報(絵や図など)で伝える必要があります。

 

 

「え?そんなこと自然にわかるでしょ?」が、結構通用しません。

 

“僕が好きで告白したんだから、あの子は僕のこと好き。だから何をしてもいい。”と本気で思っている子もいます。

 

 

相手が嫌がっている、ということが理解できず、“僕が気持ちがいいのに、嫌なはずがない”と、カウンセリングの中で本気で語る子にも何度も会っています。

 

 

大事なことだからこそ、きちんと伝えてあげたい。

大人として、たじろぐことなくしっかりと教えたい。

 

面接の中では、

・あなたの思っていることと、ほかの人が思っていることは違うことがある。

・あなたは気持ちがいいかもしれないが、相手は嫌だと思うこともある。

・その行動は、多くの人に○○という誤解を与えることが多い。

・この言葉やこの動作は相手が嫌がっているサインである。

・人が嫌がることはしてはいけない。

 

など、実際の場面を振り返りながら丁寧に伝え直すことがあります。

 

 

 

というか、相談に来る多くの子が、性についてびっくりするほど無知です。

中学生、高校生で、アダルト動画を平気で見ているような子も、アダルト動画で見る性行為と、学校で習った性教育の授業(男女の体について、避妊、受精など)が全く結びついていません。

 

TVの出産シーンは何度も見ているのに、自分がどう生まれたか、性行為をして命をつくるとはどういうことか、いまいちピンと来てません。

 

 

なんとなく情報が頭の中でバラバラになっていて、自分はこうやって生まれた、自分は今生きている、新しい命はこうやってつくられる、ということが一連の流れとして理解できていないような気がします。

 

 

というか、じゃあそれをきちんと教えられているか、というと、、、あなたは教えられますか?

 

学校の先生でも、きちんと自信を持って教えられる先生は少ないんじゃないかと思います。

 

 

カウンセリングの中で聞かれても、正直ビクッとしますもん。

内心、「やば。気合入れて、でも自然な感じで、ちゃんと話さねば!」と思ってます。

そして、そのビクッとした感じ、子供に見透かされている感じがして、なんだか変な空気になってしまうことも。

 

個人的に大切にしているのは、ちょっと気まずいのも含めて、正直に伝えることです。

 

「突然だから、あなたがそんなこと考えていたんだ、とビックリしたけど、とても大切なことを教えて(聞いて)くれたと思う。じっくりお話を聞きたいんだけどいいかな?」という感じです。

 

 

では家庭では??

 

 

私も親ですが・・・。教えられている自信がない・・・。聞かれないし、、機会もないし、、みたいな(逃げ)

 

 

体のこと、いのちのこと。

きちんと教えられる大人にならなくては!

 

 

ということで、本を読んでみましたのでご紹介。

 

 

書籍紹介

 

親子で話そう!性教育 浅井春夫

 

 

性のおはなしQ&A 幼児・学童に伝えたい30のこと 浅井春夫

 

 

2つの共通部分と感想、印象に残ったことについてまとめていきます。

 

 

性教育、いつから?

 

学校で教科書に載るのは、小学校の高学年とかですよね・・・

性教育、というと、なんとなくそのへんからのような気がしてしまいますが・・・

 

2つの著者は、生まれた時から!

とのこと!!

 

やば!!!!うち、全然やってません。。。

 

 

そもそも性教育とは、“身体のこと、いのちのことを教えること”(包括的性教育)なんだそうです。

 

そう考えると、「ここが目、ここが鼻、足、手」とは、生まれた時から教えますよね。

それと同じなんだそう。

 

確かに、目、鼻、口、は教えるのに、性器についてはなんで教えないんでしょう。

 

 

大事なところなのに、名前すら教えないって確かに変だ。

 

 

身体の名前を教えることから

 

低学年までの男の子、やたら「チンチン!」とか叫んでますよね。

うんこ、も大好き(笑)

 

卑猥な言葉をやたら叫ぶ、という相談はよく受けることがあります。

 

 

親としては、恥ずかしいからやめてくれ、という感じですが、彼らにセクシャルな意味合いはなく、新しい言葉を言いたいだけ、相手の反応を伺っている、ということが多いそうです。

 

 

そこで、「恥ずかしいからやめなさい」と、怒るのはNG。

幼児だからと遠ざけたり、性用語を使うことをいけないと感じさせたり、隠すべき話題だと思わせることが、適切な理解をすることの障壁になってしまうのです。

 

 

まずは興味を持ったことに対して、「チンチンって何?どういう役目があるの?一緒に調べてみよう」と、きちんとした知識を身に付けるチャンスにすることが大切。

 

 

聞いてきたことを褒める。そして、どうしてそう思ったのか、どう思うのかを問うことで、一緒に話ができる関係性作りが大切なんだそうです。

 

 

 

そして、私自身の一番の衝撃。

 

 

男の子の性器はの正式な名前は“ペニス“ですよね。

 

あれ?女の子は????

 

・・・お股?・・・マンコ?・・・正式に?え???

 

 

皆さん、ご存知ですか?というか、子供になんて教えてますか?

 

 

 

 

女の子の性器、“バルバ”って言うらしいです!!!!!

  

 

知らなかった・・・

  

自分の体なのに、正式名称も知らずに生きてきたのか・・・。子供にはきちんと教えよう。

 

 

 

体の名前を教える、と思うと、性教育をせねば!!って気持ちが少し和らぐ気がします。

 

  

身体の名前を知るのが性教育

 

身体の名前をきちんと知ることが大切。でも、それと性教育ってどういう関係?と思う人もいるかもしれません。

 

なんとなく、性教育=性行為、避妊を教えること、のような気がしてしまいますが、それは違う!

 

 

性教育の目標・ゴールは、子どもの権利を守ること、人間らしく生きていくこと!

 

 

自分の身体、自分自身が大事なものであり、自分自身の選択によって自分らしく生きていく権利が有ることを知ること、なんだそうです。

 

 

身体のどの部分も自分のものである、大切である、と知ることで、性被害や望まない妊娠を防ぐことができます。

 

痛い、という感覚、快・不快、体からのメッセージを読み取る力を身につけることで、嫌なものは嫌、と言える力を身に付けることが性教育の目的なんだとか。

 

 

「変な人には近づかない、変な動画は見ない!」と教えたって、何が変なのか、どういうのが変なのか、って実はちゃんとは教えてないですよね・・・

 

 

性被害は、“変な人”よりも、“優しそうな人”や“よく知ってる身近な人”から起こることが多いそうです。

アダルト動画も、今やアニメを見ていたあとの自動再生で流れてしまうことも・・・

 

 

ということは、“変な人、変な動画”かどうかを、自分で判断できるようにならなきゃいけないんです。

 

 

何が“変”なのか、「なんかおかしい!」のアンテナをきちんと育ててあげるために、自分の身体がどういう機能を持っていて、どういうことが快・不快かをきちんと教えてあげなきゃいけない。

 

 

自分の身体を自分で管理すること⇒自分の人権を自分で守れるようになることにつながっていくんですね。

 

 

幼児期で言うと、自分の体を自分できちんと洗えるようになること。ペニスも、バルバも丁寧に洗うことができなければ、かゆみなどにつながります。

大人になっても綺麗に洗うことができなければ、感染症にもつながります。

 

病気から身を守ることにもつながるんですね。

 

 

なるほど大事だ。

 

 

 

あとがき

 

性教育、と言われるとなんだか構えてしまいそうですが、性教育、とは“生”教育。生きていく術、自分の身体を知り、自分を守り、自分らしく生きていく術を教えることなんですね。

 

漢字、変えればいいのに。(笑)

そしたらなんか抵抗やわらぐ・・・

 

 

ご紹介した本には、大人がついビクッとしてしまう質問について、Q&A方式で対応例が書いてあります。

 

もちろん、その通りにできるわけではないし、子どものタイプや親子の関係性にもよると思いますが、(私もきっと上手くはできない・・・)目を通しておくことで、いざという時に少し冷静に対処できるような気がします。

 

 

「ちょっと待ってね。大事な質問だから、きちんと考えてから答えさせてね」

と、言えたらこっちのもの。

 

 

本を見ながら頭を整理して、きちんと伝えることができそうです。