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子供の学力に運動遊びを!

10歳からの学力に差がつく!運動遊び!

10歳からの学力に劇的な差がつく!
というキャッチコピーにひかれて購入。(笑)

 

相談の中で、

習い事を何をさせようか、

やっぱりスポーツはさせておきたい…

部活動には絶対に入れたい!

 

という話題になることがあります。

 

運動をすると、集中力がついたり、協調性が身につくんじゃないか…とのお話になることもよくあります。

 

実際のところは、その子の状況(新しいことを始める気持ち・時間的余裕、エネルギーがあるのかどうか)や得意・不得意にもよってくるので、何とも言えないところですが、、、、

 

運動が学習にどのような影響を与えるのか、子供にとって運動がどのような効果を与えるのかを調べているうちに素晴らしいキャッチコピーの本に出合ったのでご紹介。

 

 

本の紹介

 

子どもの脳を育てる運動遊び

柳沢弘樹

 

 

身体機能と脳機能の関連、記憶、やる気との関連について専門に研究されている方。子どもの発達に合わせた運動遊びを行うことで、子供の成長を促していこうという活動を行っている方の著書です。

 

 

学力は勉強だけでは伸びない?

 

学力=勉強ではない!!学力は「知能」の上に積み重なるもの。

さいころから先取り学習をしていれば、成績は伸びていくのか、というと、違うとのこと。

 

確かに、知識を早くに詰め込んでも、それが使いこなせるようになること、自分で考えていく力が身につかなくては、知識が生きていきません。

 

学習で差がついてくるのは、3-4年生からのことが多いのですが、暗記ではなく自分で考えて答えを導いていく力が問われていくようになってくるからだといわれています。

 

先取りして暗記だけをしていても、考える力の部分=知能が育っていないと、10歳からの学力は伸び悩んでしまう、という考え方ですね。

 

 

 

心理士の仕事では、WISCをはじめとした知能検査をよくとりますが、WISCは、言葉・知覚認知・ワーキングメモリー(記憶や実行機能)・処理のスピードを総合して、「知能指数(IQ)」としてあらわしてみよう、というものです。

 

かといって、WISCだけですべての「知能」が測れるかというとそうではないので、そのほかの情報(生活の状況や学習など)もきちんと加味し、その子の「知能」「その子持っている力」がどのくらいあるのか、を考えていきます。

 

もちろん「持っている力」は、知能だけではなく、運動能力だったり、なんか人に好かれる、みたいなキャラクターだったり、人に助けを求めることができることなども「力」です。

 

 

 

話はそれましたが、著書では、運動により、子供の「知能」を伸ばしていけるのではないか、という考え方が紹介されています。

 

「知能」を伸ばす、というと、なんか教育!!っていう感じがしますが、持っている力を引き出しやすくする、持っているものを刺激して伸びやすい環境を作ってあげる、というイメージでしょうか。

 

 

 

運動で学力が向上する?

 

運動により、脳が活性化されるのはよく実験で紹介されており、暗記の時は歩きながら!というのは結構有名ですよね。

 

集中力と関連のある脳の部位が、運動により活性化されることにより、集中力が高まるとのこと。

 

体の健康のためにも、学力の向上のためにも、身体を動かすこと、運動を楽しめることが大事なんだとか。

 

確かに、部活動を熱心に取り組んで、まったく勉強しなかった子が、中3で部活を引退したとたんに成績がぐんぐん上がる、というのもよくある話。

 

 

集中できる力や、スケジュール管理、物事を総合的に考える力、周囲の指摘を受け入れて向上しようとする力、失敗しても切り替えて試行錯誤していく力などはスポーツにも学習にも必要なので、そこが生きるからなのかもしれません。

 

 

…もちろん、スポーツをしていても、それらの力が育っていなければ成績は伸びないのですが…

 

なんにせよ、きちんと打ち込める子、切り替えができる子、自分で考えて行動ができる子がに育ってくれるといいなぁ、、、、と思うところ。

 

 

学力向上や成長、ということに限らず、生きていくうえで身体をうまく使えることってとても大切な気がします。

 

生きる、普通に生活する、って実はものすごい体力使うんですよね。。。

 

勉強するにも、仕事をするにも、集中するには姿勢を維持しなければいけない。

長い時間姿勢をキープするには、結構筋肉を使います。

その力がないのに、集中しろ、姿勢を正していなさい!!っていうのは無理ですよね…

 

学校に行くのも、歩いて行って、1日座って、結構ハードなスケジュールをこなして、友達とも遊んで、となると、体力・筋力・気力は相当使うと思います。

 

 

不登校のお子さんの居場所的役割の適応指導教室で、身体を動かす時間を作ったりするのは、まずは生活できる、学校に行くことができるだけの体力や身体づくりを、という意味合いもあるのかもしれません。(もちろん、コミュニケーションとしての意味合いも大きいのですが)

 

学力を伸ばすため、子供の成長を促すため、ましてや生活を営んでいくために、身体作りを大切に考えよう、ということです。

 

 

 

運動と心

 

また、身体のバランス感覚と心のバランス感覚は比例することが多いような気もします。

 

高度な運動は、力の発散と抑制の調整、力を入れたり抜いたりすることが必要になってくるので、それが得意な子は気持ちの面でも力のいれ時と抜き時がわかってくるのかもしれません。

 

発達のばらつきの大きい子に、不器用さんや運動が苦手な子が多いのも、知覚認知(空間認知)の独特さや協応動作がうまくいかないことと関連しているとされています。

 

 

もちろん、苦手な子が天才的に得意になることは考えにくいのですが、幼少期から遊びを通して楽しく訓練できれば、運動嫌いになることを防げるかもしれませんし、その子なりの向上が見られるようにも思います。

 

 

本書では、年齢に合わせた運動遊びやそれによって培われる力について丁寧に紹介して下さっています。

 

また、親子で行うことでコミュニケーションの一環となったり、年齢が上がってルール遊びになってきたときには社会性・協調性の基礎を作っていくのではないかとのこと。

 

 

 

運動・遊びを通して、子供の力、生活していく力、生き抜いていく力の基盤が作っていこう!というのは、生活の中でも取り入れやすく、家にいながらすぐにでも実践できそうです。

 

私も早速明日、子供とやってみよう…。